チームビルディング

ストレングスファインダーとMBTIの違い│企業研修で活かす選択ガイド

ストレングスファインダーとMBTIの違い│企業研修で活かす選択ガイド

ストレングスファインダーとMBTIの違いを理解していますか?

「組織のチームビルディングをしたいけれど、ストレングスファインダーとMBTIのどちらを使えばいいのか分からない」

こうした課題を抱える企業研修担当者や組織開発の専門家は少なくありません。どちらも自己理解や相互理解に役立つツールですが、焦点や活用方法は大きく異なります。

この記事では、ストレングスファインダー(クリフトンストレングス)とMBTIの基本的な違い、企業研修での活用シーン、そして使い分けのポイントを、実践的な例を交えて解説します。

ストレングスファインダーとMBTIの基本的な違い

MBTI:考え方や判断の方法に焦点

MBTIは、人が自然に好む認知・判断・行動の傾向を4つの指標で捉えます。

  • 外向(E)/ 内向(I):エネルギーをどこから得るか
  • 感覚(S)/ 直観(N):情報をどのように受け取るか
  • 思考(T)/ 感情(F):判断をどのような価値観で行うか
  • 判断(J)/ 知覚(P):仕事をどのように進めるか

これらの組み合わせにより、16のタイプが生まれます。MBTIの重要な考え方は、**「人を16種類に分類するのではなく、自分と他者では自然に使いやすい方法が異なることを理解する」**ということです。

ストレングスファインダー:才能の発揮と活かし方に焦点

一方、ストレングスファインダーは、一人ひとりが自然に繰り返している思考・感情・行動のパターン=才能を34の資質として捉えます。

主な資質には以下のようなものがあります:

  • 着想:新しい可能性やアイデアを思いつく
  • 共感性:他者の感情や視点を理解する
  • 慎重さ:リスクを見つめ、用心深く行動する
  • 活発性:まず行動することで学ぶ
  • 責任感:自分の約束を守ることを重視する

ストレングスファインダーの中核的な考え方は、**「資質そのものが『強み』なのではなく、才能を意識的に活用することで強みに育てていく」**ことです。

結論:焦点の違い

観点

MBTI

ストレングスファインダー

対象

考え方・判断の方法

才能・強み

焦点

違いを理解する

違いを活かす

目的

コミュニケーションの調整

チームへの貢献と協働

MBTIを使った企業研修の活用法

①自己理解:自分の思考と行動パターンを知る

MBTIでは、参加者が以下の問いに向き合います。

  • 自分は、どのように情報を集めるのか
  • どう考えるのか
  • どう意思決定するのか
  • どのように仕事を進めるのか

これにより、自動的に行っている思考パターンを可視化できます。

②コミュニケーションの違いを理解する

MBTIの活躍場面として最も効果的なのが、このテーマです。

具体的な事実から話したい人可能性や全体像から話したい人では、同じ会議でも会話が噛み合わないことがあります。また、考えてから話したい人話しながら考えたい人の違いも理解できます。

例えば:

  • 新しいプロジェクトで「まず試しにやってみよう」と言う同僚がいる一方で、「先にリスクを確認したい」という同僚がいる
  • 会議で「今すぐ結論を出そう」と言う人がいる一方で、「もっと検討してから決めたい」という人がいる

MBTIの枠組みを共有することで、こうした違いを「正しい/間違っている」ではなく、**「見ている視点が異なる」**と捉え直せます。

③意思決定プロセスの多様性を認識する

意思決定時に、人によって重視する観点が異なります。

  • ある人は「論理的に正しいか」を重視
  • 別の人は「人にどんな影響があるか」を重視

MBTIはこうした違いを構造化することで、チーム内の判断基準の多様性を理解できるツールとなります。

MBTIを使った研修の強み

  • 違いをシンプルに理解しやすい
  • 共通言語を作りやすい
  • コミュニケーションの違いを扱いやすい
  • 短時間でも気づきを得やすい
  • 会議や意思決定の違いを説明しやすい

注意点:ステレオタイプ化を避ける

MBTIを「INTJだからこういう人」「Eだからコミュニケーションが得意」のように固定的に扱うと、ステレオタイプ化する危険があります。

大切なのは、タイプで人を決めつけるのではなく、Preference=自然な好みを理解することです。

ストレングスファインダーを使った企業研修の活用法

①自己理解:自分の才能パターンを発見する

ストレングスファインダーでは、参加者が「自分は何を自然にやっているのか」を理解します。

同じ仕事でも、才能によってアプローチが異なります。

  • 人との関係から考える(共感性が高い人)
  • リスクから考える(慎重さが高い人)
  • アイデアから考える(着想が高い人)
  • 結果から考える(最上志向が高い人)

このように、同じゴールに向かっていても、プロセスや視点が異なることを理解できます。

②他者理解:才能の違いから相手を理解する

新しいプロジェクトが始まるとき、同じ状況でも資質によって見えている世界が異なります。

例えば:

資質

その人の視点

活発性

「まずやってみよう」

慎重さ

「先にリスクを確認したい」

着想

「もっと面白いやり方があるかも」

規律性

「まず進め方を決めよう」

誰かが間違っているわけではなく、それぞれ違う才能から状況を見ていると理解できる点が、ストレングスファインダーの大きな特徴です。

③コミュニケーションのすれ違いを改善する

ストレングスファインダーでコミュニケーション改善の際に重要なのは、本人の意図と、他者から見える姿の違いを明らかにすることです。

例えば:

責任感が高い人

  • 本人の意図:「約束を守りたい」
  • 相手の見方:「一人で抱え込んで相談してくれない」

指令性が高い人

  • 本人の意図:「曖昧な状況で方向を示したい」
  • 相手の見方:「強く言われている感じがする」

調和性が高い人

  • 本人の意図:「必要のない対立を避けたい」
  • 相手の見方:「本音を言ってくれない」

このような齟齬を対話することで、相互理解が深まり、より良いコミュニケーションが可能になります。

④チームへの貢献を明確にする

ストレングスファインダーの活用の大きな特徴は、単に「自分の資質は何か」で終わらず、その才能をチームにどう提供できるかを考えられることです。

例えば:

  • 「私はプロジェクト初期のアイデア出しで貢献できる」(着想が高い)
  • 「私はリスクチェックを担当できる」(慎重さが高い)
  • 「私はメンバー間の関係づくりを支援できる」(共感性が高い)
  • 「私は計画を具体化する役割を担える」(規律性が高い)

このように、自分の才能をチームの必要性と結びつけることで、組織における役割と貢献が明確になります

⑤相互に頼る関係を構築する

チームビルディングでは、「自分に何ができるか」だけでなく、「誰のどんな才能を頼るか」まで考えることができます。

これによって:

自己理解 → 他者理解 → 相互理解 → 役割理解 → 協働

という段階を経て、真の協働関係が構築されます。

ストレングスファインダーを使った研修の強み

  • 個人の違いを細かく扱える
  • 個性を肯定的に捉えやすい
  • コミュニケーションのすれ違いを改善できる
  • チームへの貢献を考えやすい
  • 実際の仕事や役割分担につなげやすい
  • 「誰を頼るか」という協働まで扱いやすい
  • チーム全体の資質分布を可視化できる

注意点:資質は可能性、制限ではない

ストレングスファインダーは34の資質があるため、MBTIより理解するための情報量が多くなります。また、「私は○○の資質だからできません」という使い方にならないよう注意が必要です。

大切なのは、資質は可能性を説明するものであり、行動を制限するものではないという前提です。

ストレングスファインダーとMBTIの比較表

観点

MBTI

ストレングスファインダー

自己理解

他者理解

分かりやすさ

個人差の細かさ

コミュニケーション改善

すれ違いの理解

強みの発見

チームへの貢献

役割分担

実務への接続

共通言語の作りやすさ

○〜◎

短時間研修

深い対話

○〜◎

企業研修での使い分けガイド

MBTIが向いているテーマ

次のような課題や目標がある場合、MBTIが活躍します。

  • コミュニケーションスタイルを理解したい
  • 考え方の違いを理解したい
  • 会議で意見が噛み合わない理由を考えたい
  • 意思決定の違いを理解したい
  • 短時間で相互理解を促進したい

MBTIのキーワードは、**「違いを理解する」**です。

ストレングスファインダーが向いているテーマ

次のような課題や目標がある場合、ストレングスファインダーが活躍します。

  • 一人ひとりの強みを活かしたい
  • チームメンバーの個性を理解したい
  • コミュニケーションのすれ違いを改善したい
  • チーム内の役割を考えたい
  • メンバー同士がお互いを頼れるようにしたい
  • チーム全体の強みを可視化したい
  • 研修を実際の仕事につなげたい

ストレングスファインダーのキーワードは、**「違いを活かす」**です。

チームビルディングという視点での活用

MBTI的アプローチ

私たちは、なぜ違うのか?」という問いから始まります。

違いを理解する ↓ コミュニケーションを調整する

ストレングスファインダー的アプローチ

私たちは、何が違うのか?」という問いから始まります。

その違いはどんな才能なのか? ↓ チームにどう活かせるのか? ↓ 誰の才能を頼ればいいのか? ↓ 協働の構築

企業研修としての位置づけ

MBTI:違いを理解するための共通言語

MBTIは、組織内の多様な思考・判断プロセスを理解するための「翻訳ツール」として機能します。メンバー間のコミュニケーションギャップの原因を特定し、相互尊重のベースを作ります。

ストレングスファインダー:違いを活かすための共通言語

ストレングスファインダーは、多様な才能を組織の成果に結びつけるための「設計ツール」として機能します。個人の強みの理解から、チーム全体の相乗効果を生み出す役割分担まで、実践的な協働を構築します。

ただし重要な点として、「MBTIでは強みを扱えない」「ストレングスファインダーではコミュニケーションを扱えない」という意味ではありません。実際には大きく重なっています。違いは、研修の中で、どこに焦点を当てやすいか、にあります。

企業から受ける相談別の選択ガイド

相談内容:「チームビルディングをしたい」

この相談だけを受けた場合、ストレングスファインダーは非常に相性のよい選択肢です。理由は、以下の流れを一つの枠組みの中で扱いやすいからです。

自己理解 → 他者理解 → コミュニケーション → チームへの貢献 → 役割 → 協働

相談内容:「メンバー同士の考え方の違いを理解してほしい」

この目的の場合、MBTIのシンプルさが大きな強みになります。16タイプという比較的少ない数で、多様な視点を理解できる効率性があります。

相談内容:「強みを活かした組織づくりをしたい」

ストレングスファインダーが適切です。34の資質を通じて、個別具体的な才能の活かし方から組織全体の戦略的な役割設計まで、実務的なレベルで対応できます。

実践的な研修デザインのコツ

ステップ1:組織課題の言語化

研修を導入する前に、「研修後に参加者にどんな変化を起こしたいのか」を明確にすることが最も重要です。

  • 相互理解の深化か
  • 強みの活かし方か
  • コミュニケーションの改善か

この問いにより、選ぶべきツールが自ずと決まります。

ステップ2:実務への接続

特にストレングスファインダーの場合、診断結果を得た後、具体的な業務や役割にどのように活かすかを設計することが、研修の成功を左右します。

実際の仕事のシーンを想定した対話や、チーム内での役割分担の見直しなどを通じて、学習を行動に転換します。

ステップ3:継続的なアクション

単回の研修では効果が限定的です。数週間後のフォローアップセッションを通じて、参加者が実務で得た気づきを共有し、組織全体の相互理解や協働をさらに深めることが重要です。

まとめ:どちらを選ぶべきか

MBTI:シンプルに違いを理解し、コミュニケーションの質を向上させたい場合に最適です。

ストレングスファインダー:個々の才能を理解し、その才能を実際の仕事に活かし、チーム全体の協働と成果につなげたい場合に最適です。

両者は競争関係ではなく、組織の段階や目的に応じて、あるいは組み合わせて活用することで、より効果的な人材育成とチームビルディングが実現します。

重要なのは、ツール選択ではなく、「研修後に何を実現したいのか」という組織の本質的な課題を明確にすることです。その課題が見えれば、自ずとツール選択の道は開かれます。

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